親の老いを描いたおすすめ小説3冊

親は必ず老いる、そして死ぬ

親が老いて、そしていずれ死んでいくなんて、子供の頃は考えられなかったし、信じられませんでしたよね。それは子供にとってみれば、この世で最も恐ろしいことのひとつだったように思います。

 

 

しかし自分がアラフォーともなれば、親はすでに「老後」の生活に突入していますよね。わかーい親御さんとて、60才は超えていることでしょう。

 

 

気がつけば自分は親になり、年をとり、子供が成長したころに自分の親は人生の役目を終えていく。それは自然なことであるのはわかりますが、大人になってもなお、老いゆく親を受け入れることは難しいものです。

 

 

私の母は今年70才になりましたが、去年の肝膿瘍に始まり今年はリウマチを患い、長い間酷使してきた身体が徐々に限界を迎え始めたように感じます。ゴリラより丈夫で元気だったのに。。。

 

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そんな母を見て、そろそろ私も親の老いを少しずつ受け入れていく準備が必要だな。と感じたのか、近頃親の老いをテーマにした本に手が伸びるようになりました。

 

 

本を読むことによって、老いゆく親との過ごし方を学べたような気がします。またこれから長くても30年ほどになるであろう親との付き合い方も改めて考えました。

 

 

すでにその段階に入ってる人も、私のように心の準備を始める方にも、親の老いをテーマにした本は読んでおいて損はないですよ!

 

 

親の老いを描いたおすすめ小説3冊 

ここ最近で親の老いについて描いた小説を10冊ほど読みました。正直つまらないものや、親に対する嫌悪の感情があふれすぎている作品もありましたが、その中から私が選んだのはどれもナチュラルに親の老いや死を受け入れていく作品でした。

 

 

読後は、特に優しい気持ちにも悲しい気持ちにもなりませんが、自分の親が老いていく、そして死んでいくんだということが、スッと胸に落ちました。

 

 

1俺に似たひと 平川克実 2012年

あらすじ ※引用amazon

親父を、介護してみた。

昭和という時代に、町工場で油まみれになって働いていた父親。若い頃絶対に相容れないと思っていた、「俺に似たひと」のために、
仕事帰りにスーパーでとんかつを買い、肛門から便を掻き出し、「風呂はいいなあ」の言葉を聞きたくて入浴介助を続けた――。

 


義務感から始めざるを得なかった介護。その中で透徹した視線で父親を発見し、老人を発見し、さらには「衰退という価値」を発見していく“俺”の物語。

 


医学書院ウェブサイト「かんかん!」(http://www.igs-kankan.com/)で圧倒的な人気を誇った連載、待望の書籍化! 

 

 

感想

介護といえばなんとなく女性がやること、みたいなイメージがありますが、この本では息子である著者が父親を介護して看取ります。

 

 

年代的に、今の親子のようなカジュアルさのない父と息子の関係の中で、長男である著者が食事から下の世話まですべて自分でやるんですね。

 

 

父親とのわだかまりを残しながらも父親を介護する著者が、なんとも頼もしくもいじらしい。自分の奥さんに介護を任せたりしないところもぐっときました。

 

 

私には息子が2人いるので、個人的にですが。。。母親としては、息子に下の世話をここまでしてもらうのはきっついなぁ〜(;´Д`)って切に思いましたね。絶対に施設に入れるお金を貯めてから老人になります。

 

 

主人公が介護をしている時にいつも父親が言っていた「風呂はいいなぁ」言葉はきっとずっと彼の心に残るんだろうなぁ。親孝行ができたことを嬉しく思い、親との別離の悲しみをいやすんだろうなぁ。と想像すると心がじんわりとあたたかくなります。

 

 

父親の介護の段階が変わっていく様も粛々と描かれていて、いつか自分が親の介護をする日がきたらまた読み返したくなるだろうと思いました。

  

 

へたうまな挿絵が素敵

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幼い頃と変わらぬ夜空があった、という挿絵

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2 かすてぃら さだまさし

 

あらすじ 引用:amazon

笑いと涙あふれる、著者初の自伝的実名小説

昭和30年代、長崎。カステラの香りに包まれた記憶の中には、明るくて、ちょっと迷惑で、それでも皆から愛された破天荒な父と、振り回された家族の姿があった――。

 

『精霊流し』『解夏』『眉山』など、数々の名作を綴る作家・さだまさしが父に捧ぐ、「もうひとつの“精霊流し”」。

 

 

タイトルの「かすてぃら」は、このお話の舞台である長崎の銘菓、ご存知かすてらのことです。さださんのお父さんの大好物だったかすてらは、人生の色んな場面で登場しますがそれが本当に面白い!

 

 

納得いかないことがあれば相手が誰であろうと戦い貫くさださんのお父さんは、倍返しの先駆けです。突拍子もないアイデアと不屈の精神で相手をギャフンと言わせる天才。

 

 

親の死を目の前にしたら、根性の別れを交わしたり、涙を流したりなんていうイメージがありますが、さださんは不謹慎なくらいユーモアたっぷりにそのシーンをみつめていました。時々ドリフのコントみたいになったりします。

 

 

さだまさしの有名なエピソードの一つに、若い頃に映画を撮って30億の大借金をした話がありますね。

 

 

中国で映画の撮影をしたら、最終的にとんでもない借金を背負うことになって、その借金を返済するために何十年も尋常じゃない回数のコンサートを開き続けたというあれです。さださん、たしか最近まで返済していました。

 

 

あれが実は破天荒父親のわがままによるものだったとは、さださん、普段は語りません。私もかすてぃらを読んで初めて知りました。

 

 

正直、さだ父は毒親としか思えなくて個人的に腹が立ちます。時代が今だったら許されないことだらけですよ。でも、昭和の話ですから。それにさださんはこの親父をとても尊敬して愛してるんです。なんにしても親子の愛の話って、やっぱりいいです。

 

 

全然しんみりしない、愛が溢れかえっちゃってる、そんなさださんとお父さんとのお別れの話です。読む際はカステラをご用意ください。面白さ倍増です!

 

 

3 ついに、来た? 群ようこ

 

あらすじ 引用:ついに、来た? | 群 ようこ |本 | 通販 | Amazon

どうしたものかなぁ……。

働いたり、結婚したり、出産したり、離婚したり……、

バタバタと歳を重ねているうちに、気づいたら、あの問題がやってきた!?

 

それは、待ったナシの、親たちの「老い」。女性の人生に寄り添ってきた著者による、泣いて怒って笑って、大共感の連作小説。

 

 

様々な人々の、主に中年女性たちの親の介護の始まりが8つのエピソードに別れて描かれています。

 


父の死後、53歳の時に男に走って家を出た母親が70歳を過ぎてボケて相手の男に捨てられ、戻ってきた母を介護することになった姉妹。

 


家の事は全てやって当たり前、働いてないから夫や世間から馬鹿にされ続けた専業主婦がボケた義父を介護しつつ、ぜってーに夫は介護しねえ!と誓う妻。

 


結婚して3年、子供ができる前にボケた母の介護が始まった事で義母にチクチクといじめられる妻。

 


長男一家と数十年に渡り同居してきた母親がボケた。そこで長男の嫁がついに根を上げて、誰かが代わりに面倒を見なくてはならないハメになった5人の兄弟姉妹。

 


いやらしい裕福さに嫌気がさして家を出たが、50歳を過ぎて親がボケ、家に戻ると訳の分からない親子が住み着いていて、戻らざるを得なくなった独身女性。

 


実母と独身を通した叔母が同時にボケてしまい、2人の噛み合わない会話に挟まれながら介護に奔走する結婚に失敗した41歳の娘。

 


中学生になり猛烈な反抗期に息子が突入と同時にボケてしまった同居していた実母。家庭で2人に挟まれながらなんとかやり過ごしているところに夫から離婚を申し込まれ追い詰められる主婦。

 


高齢出産の夫婦のもとに生まれ、母を早くに亡くし、80を過ぎてついにボケ始めた父親を介護することになる姉妹。

 

 
平凡な日常に、ある日突然のしかかってくる親の老い。自分の生活に親の介護がプラスされた時の状況をけっこうリアルに想像できます。

どの話でも、やっぱり最初はみんなめっちゃ戸惑うんですよ。悲しいやら情けないやら信じたくないやらいろんな感情が湧くけど、いったんその時が来たらそんなこと言ってられない。待ったなしです。そんな子育てよりはるかにしんどい(そうな)親の介護。

 

 

無理無理、うちにはそんな余裕はないよ!と思っていても、手助けが必要な自分の親を前にしたら、子供は受け入れないという選択肢はないわけです。

 

 

要するにそういう、親の老いあるあるをぎゅっと集めた短編小説。読んだ後、母に電話しました。そんな気分になりました。

 

 

さいごに

これらの本を読んで、自分の親の老いを考えると同時に、今は信じられないですがいつかくる自分の老いも考えました。

 

 

子供は自分の最後をどういう形にせよ看取ることになるわけです。その時のためにも、介護の有無はともかく息子を苦しめない老人になろうと思いました。子供は小さい頃からの記憶も全部持ったまま親に接するわけですからね。

 

 

 なにより、老人ホームに入れるお金をちゃんと貯めようと改めて気が引き締まりました。

 

 

いつか必ず来る親の老い、自分の老い。ちょっと考えてみるいい機会になりますよ!

 

 

 

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