ヤマザキマリ「ヴィオラ母さん」感想:大好きな漫画家の本!でもこのは本ひどい!

超大ヒット風呂漫画「テルマエ・ロマエ」の作者ヤマザキマリさんが、彼女の母について綴った自伝的エッセイ「ヴィオラ母さん」を読んだのでレビューします。

 

ヤマザキマリ ヴィオラ母さん テルマエ・ロマエ 毒親

 

 

 

 

ヤマザキマリ氏のプロフィール

ヤマザキマリ テルマエ・ロマエ ヴィオラ母さん 毒親

写真引用:ヤマザキマリを超えた!? 母・リョウコの仰天人生が面白すぎる! | ananニュース - マガジンハウス

 

1967年東京都出身

17歳で単身イタリアへ渡る

1997年漫画家デビュー。

エジプト、シリア、ポルトガル、米国を経て現在はイタリア在住。

テルマエ・ロマエ」で第3回マンガ大賞

第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞

平成27年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞

平成29年イタリア共和国星勲章コメンダトーレ綬章

早稲田文学編集委員

 

テルマエ・ロマエという、日本中の老若男女すべての人々に受け入れてもらえるすごい漫画を描いたことによって、一気にスターダムに上り詰めた天才漫画家。

 

世界中を放浪しながら結婚・子育て・仕事をこなしてきた元祖ノマド生活女性であり、”国境のない生き方”を体現して島国日本に新しい風をゴウゴウと吹きみ中。

 

作品も作者自信も個性の塊!

 

私もテルマエ・ロマエは大好きだし、「ルミとマヤ」「イタリア家族シリーズ」も持ってるわ。

 

 

「ヴィオラ母さん」のあらすじ

 破天荒なヤマザキマリさんを育てた母”リョウコさん”は、ヤマザキさんを超える破天荒な女性。

 

昭和の初期という今よりもずっと女性の社会進出が難しい時代に生まれ、ヴィオラを片手に北海道に住み着き札幌交響楽団にヴィオラ奏者アンド女性第一号として入団。

 

後に結婚、死別、出産、再婚、また出産を経て、シングルマザーとして2人の女の子を身寄りのない北海道の大自然の中で生き抜く。

 

ヤマザキマリさんの個性はそんな”リョウコの超独特な世界観”の中で育くまれた。

 

この本にはリョウコさんの仰天エピソードと、ヤマザキ氏のリョウコさんに対する見解が書かれている。

 

「ヴィオラ母さん」の感想 ※ネタバレ注意

時代背景を考えると、リョウコさんはぶっ飛んでる女性としか言いようがない

今でこそ、女性が自立して自分の生き方を模索しながら生きる自由はわりとあると思う。

 

夢を追いかけて、好きなところに住んで、好きな職業を手に入れるっていうね。難しいけどね。

 

でも戦後の日本でリョウコさんがそれをやったって本当にスゴイことだったと思う。誰もやらないことを自分だけがやりぬくって、すっごくパワーがないと出来ないことだもの。 

 

誰になんと言われようと、自分の信じた道を突き進む!ってかっこいいわよね。 ヤマザキさんがそんなリョウコさんを今でもとても誇りに思うのもわかるわ。

 

そしてヤマザキさんもリョウコさんの意志をきっちりと継いで、世界に自由に羽ばたいてる。

 

人にはできないオリジナルで素敵な生き方!

 

 

ゴホン、では。

 

ここから先は、正直すぎる感想を盛大に述べさせてもらいます。

毒舌が苦手な方はここまでで「<戻る」ボタンをポチしてプリーズ(о´∀`о)

 

 

 

 

 

「人に迷惑をかけない生き方」の正反対を突っ走ってる

リョウコさんは自由に生きることを徹頭徹尾貫いた人。

 

実家から勘当状態で飛び出して北海道でヴィオラ奏者になったことも、シングルマザーとしての子育ても日常生活も。自分の自由に対して遠慮はない。

 

子供を抱えていても、仕事である楽団の地方公演にもガンガン行く。海外公演もガンガン行く。市営住宅に住みながらも自宅で音楽教室をガンガン開いてガンガン楽器を弾く。

 

コブ付きだからって、ヴィオラ奏者という自分の夢である職業に対して妥協はしないし、音楽を奏でる自由と幸せを謳歌する。

 

しかし「自由」を得たら、同じ分だけ「責任」というものがついてくるのが世の常ってもの。

 

ところがこのリョウコさんて人は、自由の代償の責任を放棄してる。

 

たとえば、リョウコさん一家は市営住宅で暮してたんだけど、その市営住宅の一室の自宅でヴァイオリンやピアノのレッスンをしてたっていうんだけど、本気かしら?!

 

さらに一日中リョウコさんのお弟子さんや楽団の仲間が来て何かしら音楽を響かせてたって書いてあるけど、私がその近隣に住んでたら、人の出入りの激しさ自体ストレスだし、楽器の騒音でノイローゼになってたと思う。

  

また、この市営住宅はペット禁止なのにリョウコさんは犬を拾ってきて飼ったと。なんだそりゃ。

 

ペットはともかく、その環境で騒音問題がなかったわけないし、正気の沙汰じゃないわ。

 

これが小説じゃなくて実話だって言うんだから読んでて驚きを通り越して怒りすらわいてきた。

 

自分が自由を謳歌するために人に犠牲を強いたらだめでしょ。

 

子供<<<<<<自分な母親

ヤマザキさんは、母親の仰天エピソードを全部激しく美談にしてる。痛々しいほどに美談にしすぎてるわ。

 

リョウコさんは全国行脚をする楽団の仕事で、しょっちゅう子供を置いて仕事。時には海外に2週間行くことも。

 

その当時のヤマザキさんと妹さんはまだ7歳と5歳ですよ。

 

リョウコさんが家を留守にすると7歳のヤマザキさんは、5歳の妹を保育園に迎えに行き、リョウコさんにもらったお金で食料を調達し、2人で銭湯に行き、自分で布団を敷いて寝てたんですよ?!

 

長期間留守にするときは、あまり良く知らない人の家に預けられたとのこと。

 

彼女は人の家に長居をしていくうちに自分達姉妹の存在が、その家の調和を壊していくことに気を使い居心地が悪くなってたと。

 

自分達はまるで「ホタルの墓」のあの兄妹のようだったと。そう綴ってる。

 

 

ねえ、涙が溢れそうなんだけど

(´;ω;`)ウッ…。

 

 

ヤマザキさんは、そんなリョウコさんって「世間が作り出した母親像を意識しないで独自の子育てを貫いたその姿がかっこいい」と美談言うてますけどー、

 

かっこいいかっこよくない、平凡だ非凡だ、なんて母親の生き方は、最低限の親の義務を果たしたその後から評価する問題だわ。

 

子供が成長するまでは、大人の庇護のもとに守られて子供らしく生きれる環境を守ってやるのが、子供を生んだ親の最低限の義務なのではないかしら?

 

その義務を放棄した人々が、昨今の日本に悲しいニュースを連日生み出してるように私は感じる。

 

それでもヤマザキさん自信は母リョウコさんを心から尊敬してるし、リョウコさんに育てられた自分自信を誇りに思ってるのがよく伝わってくる。

 

実際ヤマザキさん自信も何度も苦境に立たされてきたけど、その都度リョウコさんのたくましさや生き方から学んだことで乗り越えて大きく成長し続けてる。

 

でもそれは、きっとすごく特殊なお母さんと娘さんだったから、結果オーライになっただけの話なんじゃないかしら。

 

 

さいごに

ヤマザキさんはこの本のはじめに読者に対して、「自分や子供の未来に対してどこまでも開かれた、風通しの良い気持ちになってくれたら筆者も嬉しく思う。」と書いてるんだけど、

 

この一説を読んで、私はそんな気持ちになれることを期待してワクワクして読み進めたわ。

 

でも、読めば読むほど、母親の立場としてリョウコさんを許せなくなり、それを一生懸命肯定してる娘のヤマザキさんがどうしてもかわいそうに思えてしんどかった。

 

もし私が若く子供のいない身でこの本を読んだら、「私も将来子供が生まれたらリョウコさんみたいなかっこいい母親になろう!」ってきっと思ったと思う。

 

でも、母親になった今、もし自分の近所にリョウコさんがいたら、たぶん児童相談所と警察に通報するわ。

 

どう考えても、一歩間違ったら子どもたちは事件に巻き込まれてるもの。

 

当時は時代が昭和で、今とはだいぶ事情も違ったからそんなに騒ぐほどのことじゃなかったのかしら。昭和の時代、実際私も含めて世間は放置子だらけだったしね。

 

リョウコさんほどの人はいなかったと思うけど!

 

でも、すべての出来事をポジティブに笑い飛ばして楽しむヤマザキさんとリョウコさんの底なしの強さには、確かに勇気づけられるものがあった。かも。

 

あなたはこの本を読んだらどんな事を思うかしら?

 

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▽ヤマザキマリさんのその他の作品はこちら

国境のない生き方: 私をつくった本と旅

テルマエ・ロマエ 全6巻

モーレツ!イタリア家族  

ルミとマヤとその周辺 全3巻

 

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